Note

大学生に向けた防災講義

大学生に向けた防災講義

2025年9月11日(木)

関東学院大学の生徒達が浪江町に来町されました。

浪江町には、沿岸部に立地しているにも関わらず生徒全員が助かったと言われる浪江町請戸小学校があります。

建物自体は津波に飲み込まれましたが、震災遺構として今は、どなたでも見学できる施設となっております。

生徒たちはどのようにして避難し助かったのか、どのような思いで行動したのかを

実際に避難した道のりとは多少異なりますが、避難先となった大平山まで1.6㎞歩いていただきながら、ご説明させていただきました。

想像のつかない迫りくる津波の恐怖、一瞬にして変わり果てた町並みの中を浪江請戸小学校の生徒たちは、必死に1.6㎞の道のりを走りました。大人の足でも多少疲れる道のりを、小学生の足で歩いたこの道のりはどんな光景だったのか、高学年の生徒は低学年の生徒を励まし、車いすの生徒は先生が負んぶして避難したそうです。

上記画像は、大平山から浪江請戸小学校を見た場面です。

当時は大平山到着後、さらに山の反対側まで避難されたそうです。

見晴らしのいい場所から、変わり果てた町並みを見た子どもたちは、何を思ったのでしょうか、

生徒全員の命が助かった奇跡的な出来事と言われていますが、私は奇跡ではなく日頃の防災意識の高さから出来た結果だと考えています。 

夕方からは、避難所運営ゲーム「HUG」を実施いたしました。

経験の無い方からすると想像のつかない避難所生活、何をしていいか全く分からず

関東学院大学の生徒たちは、対応に四苦八苦しておりました。

ですが、それが正解の反応です。

災害は、突然誰も経験したことの無いようなことが起きるのですから、

ですが、準備はできます。

避難所での部屋割、仮設トイレの位置、団体避難の受け入れ方、病人の対応など

ゲームを通して体験することで、もし災害が起き、避難所開設となったとき、

少しでも多くの方が余裕を持った行動や避難所運営を実施することができるのではないかと思っています。

また、その行動が心の余裕につながり、避難所生活で起こりうる「PTSD」の解消にも繋がるのではないかと考えています。

上記画像のように夜は、在宅避難(断水、停電)となった場合、限られた食料で何を作るのかを考えながら夕食を作りました。

痛む食材を先に使うなど、工夫しながら調理し、白米に関しては新聞紙で炊ける「魔法のかまどごはん」

を使い、実際に調理していただきました。(以下画像)

各々限られた食材で夕飯を作ってきましたが、納得のいく味にはならなかったようです。

ですが、あくまでも在宅避難中(断水・停電)として作っていただきましたので、最低限の味付けで温かい食べ物を口に入れられる喜びがどれほど心の安定剤になるのかを、実体験した私からご説明させていただきました。

食べ終わった後は、もちろん片付けです。

断水中なので、ポリタンクに水を入れ、限られた量で洗っていただきました。

どうすれば洗い物が減るのか?

正解の1つとしては、箸やスプーン、調理器具以外は洗いません。また、油を使う料理も極力しません。

食べ物は器などにはサランラップを敷いた上からよそり、終わったらラップを捨てるだけ。

さらに、親子丼などは、下記画像のように耐熱袋にすべての調味料、具材を入れて湯煎するだけで、

できてしまいますので、洗い物を最小限に抑えられます。

このように、工夫すれば大量の水を使わなくとも温かい料理を口に入れることができます。

在宅避難ではなく、避難所生活になると温かい料理はなかなか手に入りません。

全ての避難所ではありませんが、恐らく避難所生活初日などは、小さく冷めたおにぎりが1つ食べれるくらいかと思います。

私は実際避難所生活を送り、そのような食事が暫くつづき、久しぶりに温かいものを食べた時は、涙が出るほど嬉しかったのを覚えています。

そこで私からは、常日頃から食を大事にするとういう意識を持ってほしいという事をお伝えさせていただきました。

本日は、午後から開催した、関東学院大学生に向けた防災講義ですが、日常とは異なる体験をしていただきました。

津波から避難。

家には帰れず避難所生活、または在宅避難。

リアルな体験をもとに防災についてご説明させていただきました。

一人ひとり、この講義を聞いて思うことは様々だとは思いますが、決して他人事とは考えず、

防災について意識を高めていただき、その意識が家族や周りの友人、知人と広がっていくことを願っています。

もし、また災害が起きた時、一人でも多くの命が助かるよう、今後も防災の輪を広げていければと考えています。

榎内 隆大